コレクション: ヴィトラのある暮らし:オンとオフの真ん中にあるソファ
人々の暮らしを伝えるために、さまざまな家庭を訪ね、その人らしい日常が息づくリアルな空間を紹介するヴィトラのホームストーリー。ソファのある暮らしを紹介してくれたのは、インテリアデザイナーとして活躍する工藤健太郎さん。仕事柄、数々のデザインに触れているからこその視点やこだわり、そして並々ならぬインテリアへの愛が散りばめられた自宅にて、ソファの魅力をうかがいました。
新居への導入で即決した「ソフト モジュラー ソファ」

都心へのアクセスがよく、自然にも恵まれた首都圏近郊のとある街に、家族3人で暮らす工藤健太郎さん。2021年に自宅を新築したタイミングで「ソフト モジュラー ソファ」を導入。ソファを中心に、これまでに収集してきた椅子やオブジェ、アートと調和するようにコーディネートされたリビングダイニングには、随所に工藤さんのこだわりが詰まっています。

「ダイニングテーブル、ローテーブル、ラグなど、大きい家具は新築のタイミングで一新したものが多いです。家を設計している段階で、自分でその図面に家具を落とし込みながら、レイアウトを決めていきました。設計側からすると嫌だったとは思いますが(笑)。元々、リビングとダイニングを、壁で仕切ったりせずにひとつの広い空間にしたいと考えていました。そのなかで、ソファがあるとリビングができて、大きなテーブルがあるとダイニングになるというように、家具を置くことで空間ができるレイアウトをイメージしました」
「ソフト モジュラー ソファ」は、ロンドン、東京、パリの3箇所を拠点として活躍するジャスパー・モリソンがモダンクラシックなソファを再解釈してデザインしたもの。彼のデザイン哲学「スーパーノーマル」に基づき、重心を低く抑えて水平ラインを強調したバランスのとれたフォルムと、心地よさを追求してできた究極にシンプルなソファです。モジュール構造によりさまざまな組み合わせが可能で、どんなインテリアにも美しく溶け込みます。
工藤さんがこの「ソフト モジュラー ソファ」を選んだ理由には、そのデザイン哲学にも通じるイメージがありました。
「ソファは、人というよりも空間に寄っているという感覚があるので、主張し過ぎず空間に馴染むものを選ぶ傾向にあります。それで、このシンプルな形状のソフトモジュラーソファがいいなと思って即決しました。特に、背もたれとアームのラインが揃っていて、サイズが大きく、そして張り地が替えられる点が気に入っています」
選んだのは、耐久性に優れた織りの表情が美しいファブリック。明るい色味のストーングレーにしたことで、工藤さんが言うように、ソファが空間の一部として馴染んでいます。

インテリアに彩りを添える、細部へのこだわり
2階まで吹き抜けた高くて白い壁、庭の植物が広く抜けた広い窓、そしてニュートラルなカラーや自然素材を基調とした家具。シンプルながらも、静かすぎず、あたたかい居心地に満ちているのは、 そっと添えられているアートやオブジェなどにも表れていました。



「現行の家具とヴィンテージの家具、どちらかに偏りすぎないようにバランスは気をつけていますね。小物やアートも好きなので、陶磁器、ガラス、スチール等の素材感を足して、インテリアに深みが出るとよいなと思っています。家具だけだと木やファブリックになりがちなのですが、そこに違う素材を少し足すと、インテリア全体で見たときに反射やきらめきが生まれ、仕上がりの質が上がるように感じています」
その考えは、ソファに置かれたクッションの色づかいにも。

「色で遊ぶというよりは、色にちょっと頑張ってもらっているという感じ。基本的に、派手なものよりも静かなデザインが好きなので、アクセントの手前、ほんとうにプラスでちょっと添えてくれるというイメージの色づかいなんです」
オンとオフの中間、ニュートラルな自分でくつろぐソファ
普段は、読書をしたり音楽を聴いたりする時間をソファで過ごしているという工藤さん。リラックスしてくつろぐためのソファのようですが、そこでリラックスしすぎることもないと言います。そこには、あたらしいソファがもたらした、暮らしのささやかな変化がありました。

「ソファに座って仕事や作業をすることはありません。でも、ぼーっと考えることはあっても、昼寝をすることもないんです。だから僕にとってソファは、オンとオフの間で、栄養を取るような場所。前の家で使っていた2シーターのソファでは、ダラダラと過ごしたり、ベッドのように寝てしまうことも多かったのですが、今はしていません。不思議ですよね。このソフトモジュラーソファになってから、寝るということ以外でリラックスする時間を大切にするようになったのかなと思います」

STUDIO noem 代表。
1978年埼玉県生まれ。2004年桑沢デザイン研究所卒業後、デザイン事務所にてアパレル系のインテリアデザインに従事。その後オフィスやショールーム等、様々なプロジェクトを担当。現在は商業空間、オフィス、保育施設等の空間デザインをメインに活動し、展示会の企画やプロダクトデザインも行う。
Images: Naoki Usuda
Edit & text: Mana Soda