コレクション: ホームストーリー:オランダの旧鉱夫住宅のリノベーション
個性豊かな暮らしを切り取った「ホームストーリー」
多くの人にとって、家はかけがえのないやすらぎの場所。心からくつろぎ、自分らしくいられる空間です。そこには、私たちの個性や興味、暮らし方が映し出され、数えきれない瞬間や思い出を育む背景となる唯一無二のインテリアがあります。
ヴィトラでは、そうした人々の暮らしを伝えるために、毎年、さまざまな家庭を訪ね、その人らしい日常が息づくリアルな空間を撮影しています。これが、ヴィトラの「ホームストーリー」です。
オランダの旧炭鉱地にある住宅をリノベーション

ヴェラ・ケラーとルーカス・コーバーは、オランダ南部マーストリヒト近郊の旧炭鉱地にある住宅をリノベーションし、素材感を生かしたミニマリズムと色彩豊かなデザインを融合させた住まいをつくり上げました。
ヴェラはエッシュヴァイラーの病院で外科医として働き、ルーカスはマーストリヒトで彫刻的な家具を手がけるスタジオを主宰しています。二人はともにドイツのアーヘン出身で、現在は愛犬とともに、このリノベーションされた家で暮らしています。
自然に寄り添う家との出会い
森の縁に建つこの家は、山と同じ凝灰岩で造られ、アーチ状の天井や古い扉が残る個性豊かな建物でした。山や洞窟へすぐに行ける環境も魅力で、「昔から自然のそばで暮らしたいと思っていた」というふたりは、その佇まいに惹かれました。

ルーカスは初めて見た瞬間、「大きな可能性を感じた」と振り返ります。入居後すぐにリノベーションを始め、ほこりの積もったリビングにマットレスを敷いて暮らしながら、隣の部屋から作業を進めていきました。


コンクリートの床を打ち、屋根を断熱し、壁を取り払い、石のブロックを運び出す。時間と手間をかけて家は少しずつ形づくられていきました。
「私はハードワークをいとわないタイプです。やると決めたらやり遂げます」とヴェラは話します。家が美しくなるほどに、ふたり自身も成長し、「本当に大切なものと深くつながっていく感覚を持った」といいます。
自然とともに暮らす環境は、湿度が高く日陰も多い一方で、「守られているような安心感があります。森と山に抱かれて暮らしているように感じます」とヴェラは語ります。
ミニマルと色彩の心地よいバランス

空間の基調には、ルーカスが好む素材感を生かしたクリーンでミニマルなデザインがあります。その上に、「黄色いミラー」や「黄色い階段」といった鮮やかな色を、ヴェラがアクセントとして加えました。


「最初は少し戸惑いましたが、今ではその彩りが空間に軽やかさを与えてくれています。ふたりの好みが心地よく調和した住まいになりました」とルーカスは言います。
素材の素朴さと色の軽やかさ。対照的な要素が、家全体に独自の表情をもたらしています。
ストーリーを宿す家具と、続いていく創作のプロセス

家具や小物も、二人の哲学が鮮明に現れる部分。素材選びにこだわったアイテムが中心に据えられ、静かな存在感を与えています。
「私にとって『つくる』とは、手を動かして形にすることです。家具は自分たちでデザインするか、素材や手触りを重視して選びます。クラフトマンシップがすべての中心にあります。そこには個性と軽やかさが欠かせません」とルーカス。
「私たちが家具に求めるのは、ストーリーを語るものか、自分たちでつくったものかです。機能性だけでなく、心を動かす家具こそが、家に命を吹き込みます」とヴェラは話します。


さらに、ルーカスはこう続けます。
「この家が完成することはありません。常に進化し続けるプロジェクトです。私にとって、クリエイティブなプロセスは決して止まってはいけません。それはこの家にも当てはまります」
住まいは完成して終わるのではなく、そこから始まる毎日の中で育っていくもの。ふたりは、この家をこれからも少しずつ更新しながら、自分たちのペースで“つくり続ける暮らし”を楽しんでいくのでしょう。
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