コレクション: 愛は時代を越えて
1970 年代初頭、アレキサンダー・ジラードは、インテリアのための"Environmental Enrichment panel" のコレクションをデザインしました。ラブハート、 サン、 スネーク、 アイズ、 四葉のクローバー、マン&ウーマン、無数の幾何学模様などを含むこれらのインテリア用パネルは、空間に命を与え、模様とカラーをもたらしました。その効果と魅力は時代を越えて普遍的です。当時のインテリア空間は、オフィス、教育機関、医療施設に関わらず、単調で味気のないものでした。それらの壁に、まったく反対の鮮やかでクリエイティビティに溢れるパネルを壁画のように取り入れることで、空間は華やぎ、そこにいる人の心持ちまで、明るくしてくれます。
アレキサンダー・ジラードは、あらゆる分野において先駆者でしたが、とりわけ、テキスタイルの分野では、ミッドセンチュリー以降のインテリアに、活き活きとしたカラー、パターン、テクスチェアを復活させた功績をしばしば賞賛されています。しかし、彼が残した作品とその中に息づくメッセーズは、さらに深いものでした。それは、どの文化にも類似性があり、どの宗教であっても平和への祈りは変わらず、そして本当の良いデザインによって、人と人、心と心の溝は埋めることができる、というものです。その信念は、現代の時代になお、大きな影響を与え続けています。
アレキサンダー・ジラードは、生涯を通じ、世界中のあらゆる民族や国のフォークアートを蒐集していました。それらに大きく影響とインスピレーションを受けていた彼は、迷うことなく大胆なカラーとパターンを描きました。彼はこのような言葉を残しています:
「私たちの社会では、極端なカラーや極採色は、しばしば下品だと揶揄されがちです。色は醜い、または性的な印象を与えると考えられているからです。そのため、ある程度大人になると、大胆なカラーを使うことへの恐怖さえも感じるようになってしまいました。それは反人間的社会であり、人間性の敗北と言わざる負えません。各地域の少数民族やフォークアートは、こうしたコンプレックスと無縁の場所にあります。彼らは教育を受けなかったことで、心も表現も自由なままなのです。」
アレキサンダー・ジラード
フォークアートは、自由な感覚と精密な技術が見事に組み合わさり、構成されています。それらは勇敢でありながらも優しく、シンプルでありながらも複雑で、個人的でありながらも普遍的です。その中でも、彼が特に愛したのは「ラブハート」のモチーフです。彼は生涯を通じて、幾度となく、ハートをテーマにした作品を創作しました。ハートのモチーフは、生命の本質を表すだけでなく、愛は、異なる文化や言語、時間を超えて共通する感情です。
アレキサンダー・ジラードは、熱い心を絶やすことなく、このメッセージを伝え続けました。ラブハートは、2人の愛を表現するマークでもありますが、大きなシルクスクリーンパネルや、クッション、マグカップなどのモチーフにして空間やインテリア、暮らしに取り入れることで、人類全体への愛と希望の象徴になるとアレキサンダー・ジラードは考えました。
Publication Date: 02.02.2017
Author: Aleishall Girard and Stine Liv Buur
Images: Alexander Girard’s hearts, designed for different occasions. © Girard Studio, LLC