コレクション: 全プラスチック製キャンチレバーチェアの夢:EVO-C
2020年、ヴィトラは初めての全プラスチック製キャンチレバーチェアを発表しました。「エヴォック(EVO-C)」と名付けられたその製品は、伝統的なキャンチレバーチェアの原理と機能性すべてをプラスチックに変換することに成功した画期的な製品です。
ヴァーナー・パントンによる世界で初めての全プラスチック製一体成型の椅子「パントン チェア」以降、全プラスチック製キャンチレバーチェアの夢は長い年月忘れられ、大きな進歩はありませんでした。2006年にコンスタンチン・グルチッチが発表した「ミュト」は、全プラスチック製ではあるものの、脚が座面の中央に配置され、キャンチレバーチェアの定義からは外れていました。
そして、ついに2020年、ジャスパー・モリソンとヴィトラは、全プラスチック製キャンチレバーチェアとしてエヴォックの開発に成功しました。エヴォックは、さまざまなデザイナーが長い歴史の中で追い求めてきた全プラスチック製キャンチレバーチェアの夢の結晶です。
最新の射出成形の技術を駆使することで、プラスチックのみを用い、スチールチューブに匹敵する強度を実現しました。荷重は背もたれから座面、座面から脚部へと継ぎ目のない一体構造を伝い、中空のチューブ状脚部によって支えられます。さらに、プラスチックという素材を活かした柔軟性は、従来のスチールチューブのキャンチレバーチェアを上回ります。
人間工学に基づいた柔らかくカーブを描く座面はとても快適です。異なる素材を組み合わせた従来のキャンチレバーチェアに対し、ひとつの素材で形成されるエヴォックのシルエットと外観はすっきりとシンプルで、製品としての完成度を感じさせます。それはたとえ、誰も腰かけず、ただそこに在るときでさえも、まるで彫刻のように美しく、ジャスパー・モリソンのデザイン哲学である「スーパーノーマル」そのままにさりげなく空間に溶け込みます。エヴォックは、二本脚で片持ちのキャンチレバーチェアの長い歴史の先、進化の最新形として生み出されました。50年以上昔、モダンデザインのアイコンとして生まれたパントンチェア、その歴史と想いを受け継ぐエヴォックは、未来のクラシックと呼ぶのにふさわしい一脚です。
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