コレクション: キャンチレバーの進化を辿って
家具デザインの歴史において偉大なる発明のひとつは二本脚のキャンチレバーチェアです。スチールチューブの弾力性を活かした典型的なキャンチレバーチェア製作に最初に成功したのは、マルセル・ブロイヤーとミース・ファン・デル・ローエと言われ、1920年代後半には、片持ちのキャンチレバーチェアが椅子の「新たな類型」として確立されました。
第二次世界大戦後も、新たなキャンチレバーチェアを追い求め続けたのがヴァーナー・パントンでした。1963年、ヴァーナー・パントンはヴィトラ創設者の息子であるロルフ・フェルバウムとともに試行錯誤を重ねた末、1967年、ついに世界で初めてのプラスチックによる一体成型チェア「パントン チェア」の量産化に成功しました。
その後、ヴィトラの製品コレクションには、2004年よりマールテン・ヴァン・セーヴェレンの「.05」が加わりました。そして2020年、ついにイギリスのデザイナー、ジャスパー・モリソンとともに、初めての全プラスチック製による片持ち構造のキャンチレバーチェアの開発に成功しました。
「エヴォック(EVO-C)」と名付けられたその椅子は、さまざまなデザイナーが追い求めてきた全プラスチック製キャンチレバーチェアの夢の結晶です。二本脚のキャンチレバーチェアという長い歴史の上にあり、その系譜の先、進化の最新形として誕生しました。50年以上の昔、モダンデザインのアイコンとして生まれたパントンチェア、その歴史と想いを受け継ぐエヴォックは、未来のクラシックと呼ぶのにふさわしい一脚です。
パントンチェアは、現代の暮らしに合わせたデザインに改良され、新たなカラーバリエーションが加わります。そして2021年春、初の全プラスチック製キャンチレバーチェア、エヴォックは、日本発売を迎えます。
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