EXPO 2025 : Into the Swiss Pavilion with Vitra
ようこそ、スイスパビリオンへ
4月にはじまった大阪・関西万博も、会期終了まで残りわずかとなりました。そこで、ヴィトラが協力している「スイス パビリオン」を改めてクローズアップ。展示内容やヴィトラの家具を導入した「ハイジ・カフェ」を紹介するとともに、同パビリオンと共鳴するコンセプトについて探ります。すでに訪れた方も、これから予定する方も、新たな視点や気づきを得る機会につながるかもしれません。
人間拡張・生命・地球というキーワードが表現するもの
「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、そして「いのちに力を与える」をサブテーマに掲げた、今回の大阪・関西万博。このテーマの理解を深めるべく、スイスパビリオンは「人間拡張」「生命」「地球」をというキーワードで展示をおこないました。

キャッチフレーズは「ハイジと共に、テクノロジーの頂へ」。日本人にとって、スイスといえばTVアニメ「アルプスの少女ハイジ」を思い出す方もきっと多いはず。そんな親しみやすいイメージとスイスの文化や最新テクノロジーの体験をかけあわせ、見たことのない多彩な表現が実現されていました。

球体の連なりが印象的な建築は、リサイクル可能なETFE膜を使用し、スイスパビリオン史上最も軽い」と謳われています。設計は、スイス・バーゼルを拠点とするマヌエル・ヘルツ建築事務所が手がけました。

ハイジ・カフェで触れる、スイスの食とデザイン文化




万博のその先の未来へ。私たちが考え、行動していくこと
冒頭で紹介したように、スイスパビリオンでリサイクル可能な素材を採用するなど、環境への負荷を極力減らし、持続可能性を追求していくことは、今回の大阪・関西万博全体のテーマのひとつでもあります。どのくらい環境配慮がなされているのか、会期終了後はどうなるのかといったことは、多くの人々が関心を寄せるトピックスです。
本パビリオンの球体の重量は450kg以下。それは従来の建築の1%程の重さということで、運搬時の負荷から軽減され、二酸化炭素の排出を最小限に抑えられています。それらは京都デザイン・ラボ(京都工芸繊維大学)の協力のもと測定され、設計を手掛けたマヌエル・ヘルツ建築事務所と学生、教員が一体となり、リサーチや研究が重ねられています。そして、パビリオンの建築に使われた素材の端材をリストアップし、それらの利活用についての検討も会期中もなお進んでいます。

ハイジ・カフェの天井を見上げると、花びらのようなステッカーは、日差し対策として貼られたもの。加工と材料の歩留まりの効率を優先して考えられたカッティングシートのデザインひとつにも、無駄のない配慮がなされています。
このような、あらゆる方向に向いたサステイナビリティの観点は、ヴィトラの企業文化にも通じる考え方です。「美しいデザインを選びながら、地球にも配慮する」。それは、製品の開発段階から原材料の調達、製造、販売、さらに製品寿命が尽きた後まで製品のライフサイクル全体を考えること。何気なくカフェで座った一脚の椅子にも、その想いは込められているのです。また、このスイスパビリオンで使用された家具は、来春に新たな場所で再び活用することも予定されています。大阪・関西万博は10月13日(月)まで。ワクワクする空間を体験しながら、よりよい暮らしへの気づきや行動へとつながることを願います。