「3daysofdesign 報告会」イベントレポート
2025年6月、デンマーク・コペンハーゲンで北欧最大級のデザインイベント「3daysofdesign」が開催されました。これに合わせてヴィトラは、現地を訪れた株式会社2M house代表取締役/モダンリビング・プロジェクトディレクターの下田結花さんをゲストに迎え、「3daysofdesign 報告会」を7月3日(木)、東京の Vitra & Artek Tokyo Office にて開催しました。インテリアコーディネーターの皆様をはじめとする家具・インテリア業界のお客様にご参加いただき、当日は70名を超える来場者で熱気に包まれました。今回は、3daysofdesignの見どころが存分に語られた報告会のレポートをお届けします。
コペンハーゲンの街全体がデザインの舞台に
わずか4ブランドで始まった「3daysofdesign」は今年で12回目を迎え、今年は469のブランドが参加。世界各国から6万人以上が来場する一大イベントへと成長しています。スクリーンには下田さんが現地で撮影した写真が映し出され、臨場感あふれる光景が共有されました。
「街全体を舞台に、ショールームだけでなく歴史的建築、カフェや公園までもが展示空間に変わる3日間。街とデザインが自然に調和し、かけ離れていないことに感銘を受けました。美しい街を歩きながら、食べたり飲んだりしつつ、日常の中にあるデザインを体感できるのが、このイベントの魅力です」と下田さん。

コペンハーゲンのヴィトラのショールーム展示
実際に、倉庫を改装したギャラリーや歴史的建物の一室がそのままショールームとなり、新作からサステナブルな家具まで、多彩な発表が街に点在していました。
「今回特に目を引いたのは屋外家具の提案です。公園のレストランでアウトドア家具を使ったポップアップでは、食事をしながら心地よさを体験できる演出が印象的でした。イタリアのラグジュアリーな大型家具とは異なり、北欧の屋外家具は“バルコニーサイズ”。小さなテラスや街角で使えるスケール感の家具が多く、暮らしの空間にも自然にフィットしていると感じました」
色と素材が生む新しい魅力

新作「スロー チェア」&「スロー ソファ」


暮らしそのものがデザイン


ロイヤル・コペンハーゲン本店の店内と、思わず立ち寄った花屋の花束(下田さん撮影)
ショールーム巡りの途中で立ち寄るカフェや花屋も、このイベントではデザイン体験の一部になります。ロイヤル・コペンハーゲン本店では壁一面に食器を飾り、器と暮らしの関係性を提案。「器や季節の草花に触れながら、暮らすようにコペンハーゲンをめぐるのも一つの楽しみですね」と下田さんは話します。
「北欧のデザインにはトレンドがありません。良いものを長く使うという考え方が根底にあり、その心地よさを実感できました。名作は色や素材の更新によって息を吹き返し、屋外家具は小さなバルコニーに寄り添う存在として提案されていました。ショールームはカフェや住まいと融合し、人々が自然体で過ごせる場所となり、日常とデザインが溶け合う空気を生み出していました」

「3daysofdesign 報告会」の様子
下田さんは、さらに「夜遅くまで明るい夏の空の下、人々が芝生に腰かけ、椅子や照明に囲まれて過ごす光景は、まさに3daysofdesignを象徴しているようでした。暮らし方そのものがデザインであり、日常がデザインとつながっていることを体感できた3日間でした」と締めくくりました。
現地で特に印象に残ったブランドや空間演出に加え、テーブル上のスタイリングなど細部にまで目を向けた下田さんならではの視点も紹介され、参加者の皆さんも熱心に耳を傾けている姿が印象的でした。
今秋の新作「スロー チェア」&「スロー ソファ」もお披露目

報告会では、3daysofdesignで初披露されたヴィトラの新作「スロー チェア」と「スロー ソファ」も展示。新しいファブリックやカラーバリエーションをまとった家具に実際に触れ、参加者の皆さんには一足先にその心地よさを体感していただきました。ヴィトラの展示をはじめ、多彩な発表と街の風景が混ざり合う様子を通じて、デザインが日常を豊かにする力を改めて感じられる機会となりました。
ゲストスピーカー紹介

下田 結花(しもだ ゆか)
北海道旭川市生まれ。2003年よりモダンリビング編集長を務め、2016年よりモダンリビング発行人、2025年よりモダンリビング・プロジェクトディレクター。2024年、東川町で株式会社2M houseを起業。執筆、講演、セミナー、ブランディング、インテリアやライフスタイルのプロデュース等を手がける。